医療法人社団 風と緑 田園調布ヴェルデ矯正歯科
昭和医科大学歯学部歯科矯正学講座 非常勤講師
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本シンポジウムの主旨は、顎関節と咬合の関係をテーマに、学会や大学の枠を超えた広い視野で討論の場を設けることです。
顎関節と咬合というセンシティブなテーマであるがゆえに、異なる立場の専門家が集い、知識や見解を共有し、本音の意見を交わすことが重要だと考えています。
このような場を通じて、顎の機能と咬合が身体全体の健康に与える影響を再確認し、より良い方向性を見出すことを目指しております。
正しい顎の機能と咬合が、歯の寿命を延ばすだけでなく、身体全体の健康維持に大きく寄与することは、言うまでもありません。
今大会のトピックは「クリック(円板転位)を黙認する怖さ」といたしました。
現在、多くの医療現場では、「咬合が原因の顎関節症は存在しない」という前提での対応が推奨されています。
そのため、円板転位も黙認されるケースが多いのが現状です。しかし、近年の研究により、円板転位が咬合に与える悪影響が明らかになりつつあり、その適切な対応については依然として不確かな点が多いのが実情です。このシンポジウムを通じて、各立場からの意見を集約し、少しでもその解決策に近づければと考えております。
会場となる国立新美術館は、人々がさまざまな芸術表現を体験し、学び、多様な価値観を尊重し合うことができる場所です。この地で歯科の学術大会が行われるのは、本シンポジウムが初めてとなります。芸術の受け止め方が多様であるように、科学の捉え方や表現方法も多様であることを実感することができる場であり、立場の垣根を超えて、互いに認め合うことのできる有意義なシンポジウムとなることを確信しています。
このような趣旨のもと、多くの方々にご参加いただけるものと自負しております。本シンポジウムは、歯科学のさらなる発展を目指す重要な学術活動であり、時宜を得た意義深い取り組みであると確信しております。